シーズンになるとたくさんのマイクロバスやマイカーで賑わう四国八十八ヶ所霊場一番札所 霊山寺の駐車場。
そのすぐ東隣に「洋食 元」があります。
オーナーシェフの徳元 健二さんは高校を卒業後、東京の有名洋食店での修行を経て、20代半ばには言葉も通じないスイスのレストランに飛び込みました。
スイスはドイツやフランス、イタリアといった国々に囲まれ、それぞれの隣接地域の影響を受けながら独自の料理を育んできたお国柄。また農業や酪農も盛んで、地元の良質な食材を使ったその土地ならでは本場の洋食を叩き込まれました。
日本に帰国後地元の洋食店で働いたのち、独立を決意。
霊山寺の並びにある現在の店舗を見つけた時、「日本国内はもとより海外からも多くの人が訪れるこの場所に魅力を感じた」と言います。
現在はお遍路さんはもちろん、丁寧につくられた元さんの洋食に魅せられたお客さんがリピートして訪れるなど、ランチタイムはたくさんの人で賑わっています。
徳元さんは常に地元の食材にアンテナを張っています。
イワシが獲れると聞くと自ら釣竿を持って海へ出かけ、
すだちが実ると仕込みの空き時間に収穫をしたり、
美味しい野菜や珍しい野菜をつくっている生産者さんの元を訪ねたりetc…。
スイミーオンラインショップで取り扱っている「すだち鮎のコンフィ」もそのひとつ。
この日の早朝、徳元さんは徳島を東西に流れる吉野川とその支流の鮎喰川の扇状地にある養殖場を訪れました。
ここでは清らかな伏流水を活かした生簀で「すだち鮎」が育てられています。
「すだち鮎」の名前の由来は、ビタミンCやカルシウムが豊富な100%天然すだちの果汁を餌に加え与えられいるから。
その香り高さは『瀬戸内ブランド』『とくしま特選ブランド』にも認定され、全国の料理人から引き合いがあるそうです。
自ら仕入れた鮎は、店に帰ると手早く仕込んでいきます。
まずバットに鮎を並べ、塩胡椒をします。
「この塩加減が大事なんよ」と、徳元さん。
そして鮎と鮎の間に、にんにくとローズマリを挟んでいきます。
良質なエキストラバージンオリーブオイルゆっくり流し込み、オーブンで2時間ほどじっくりと熱を入れます。
オーブンから取り出した鮎のコンフィ。
このままじっくり冷まし、完成です。
仕上がったコンフィは中までやわらかく、箸で骨まで簡単にほぐれます。
ふわっとした肉質とほろ苦いはらわたの味わいは、冷えたワインに合わせてオードブルにはもちろん、パスタなどとあえてもおいしくお召し上がりいただけます。
咀嚼が難しくなった高齢の方にもおいしい食事を楽しんでいただくための「やわらか食」の開発にも力を入れています。
もともと鳴門には縁がなかった徳元さんですが、
「料理を通して、鳴門、地元徳島が輝けるように貢献していきたい」と話します。