
「苆」
この字を見て読み方を知っている人は、日本人でどのくらいの割合でいるのでしょう。
正解は「スサ」。
藁でつくった「藁苆(わらすさ)」は土壁の材料のひとつです。
土の中に混ぜ込むことでつなぎの役割をしたり、乾燥後の収縮やひび割れを防ぐ役割をしたりします。
日本建築の美しい壁を支える、まさに“縁の下の力持ち”です。
「藁苆(わらすさ)」の原材料は、お米を収穫した後にできる稲藁。
稲藁はそのまま土壁に使うと“あく”がでて壁にしみができてしまうため、あく抜きが必要です。
現在は薬品を用いてあく抜きされることが多くなった「藁苆(わらすさ)」ですが
仲須苆製造所では、昔ながらの伝統的な技法で手間ひまをかけてあく抜きを行っています。

まず農家から調達した稲藁を束ね、仲須苆製造所の前を流れる大谷川に漬け込みます。
先代が当主を務めていた最盛期には、川の数キロ先までこの稲藁が二重三重に並べられていたそうです。
現在は先代の娘さんである前田春美さんとご主人の泰資さん、そして息子の耕甫さんの3人で「藁苆」を作っています。

しばらく川に漬け込んだ稲藁は頃合いを見て、上下をひっくり返します。
水を含んで重くなっているので、かなりの重労働。
この日は前田さんご夫妻二人で力を合わせてひとつひとつひっくり返していました。

水に浸して十分にあく抜きができると、稲藁を川から引き上げ、天日で乾かしていきます。
暑い日には、ぷうんと発酵(?)したにおいがします。
天日でしっかり乾かすことで、においはほぼなくなります。

乾いた「藁苆」は倉庫に保管し、注文が入るとオーダーに応じたサイズに裁断をします。
今では希少となった昔ながらの製法でつくられた藁苆はとても珍重され、名だたる建築や名工から指名で注文が入ることもあるそうです。

けれどもビニルクロスなど乾式工法で建てる家が今ほど普及し、「藁苆」の需要も減少し、土壁を知らない人たちも増えてきました。
そこで、「もっと藁苆や土壁に親しんでもらいたい」と、スイミーのメンバーで考案したのが「スサカベカケ」。
現代の名工に選ばれた左官職人の力を借り、「藁苆」の表情をインテリアとして楽しむことができるパネルをつくりました。
北欧のファブリックパネルから着想を得たこのパネルは、そのまま飾っても良し、花や季節感のある装飾を飾っても良し。

「藁苆」を使った塗り壁に親しんでもらえるよう、コテなど必要な道具もすべて揃えてキットで販売しています。
コテの使い方で、壁の表情の違ってくるのも味わいです。
作っても楽しい、飾ってもうれしい「スサカベカケ」が、多くの方に仲須苆製造所の藁苆を知っていただくきっかけとなればと思っています。